As You Like It !

All the world's a stage, and all the men and women merely players. 独断と偏見に満ちたエンターテイメント作品紹介です。めざせエンタメの伝道師!

職業としての小説家 村上春樹

私は正直そこまで村上作品ファンではないのですが、大学の友人がよく読んでいたので貸してもらっていくつか読みました。東大生は村上春樹が好きである・・・
 
そんな友人に、「村上春樹は自分が好きなこと書いてていいね」(←私は読んでいてそう感じた)と言ったら、「いや、彼は書きたいことの半分も書いていないと思う」と言われたことがある。
私なんてにわかなのでその時は、あっそうなのか、と思ったけど、でもこの本を読むと「自分が楽しいから書く、楽しいように書く」と言っている。やっぱりそうじゃん。でも、村上氏には書きたいことがこの倍以上あるのかもしれないから、友人の言うこともまた真。
 
ステマティックなスタイルがあってびっくりした。毎日走ったり、コンスタントに10枚書いたり。第1回にも書いてあるけど、何十年もずっと続けて作品を出していくには、思いつきではだめなんだな。
 
この本を読んでいて、僭越ながら文字書きの端くれとして、そうそう!と思うことがたくさんあった。
私は創作は自分限りでやっているので、外に出すことは少ないけれど(このブログくらいか)、書いているとデトックスになってると思う。楽しい。気持ちがいい。
仕事の書き物も、締切りがあるとやっぱり嫌だけど、あるとき「あ、これ書きたい」って湧き上がってくるときがある。
後から読めばもっと良く書けたと思うけど、そのときベストを尽くした「納得感」が大事。その通り!私も実際自分で「もうこれ以上はない、これでどうだ!」と思ったときは、他の人に読んでもらっても評価がいい。
走るのは悪魔祓い、というのも納得。『負の気配』が付いてくる、というのもなんとなくわかる。
 
"気分が良くて何が悪い?"
"もし全員を楽しませられないのなら
 自分で楽しむしかないじゃないか”
 
「自分が楽しむこと」がやっぱり一番大事なのだ。
日本の風当たりが強くて・・・と書いてあった。あの村上春樹でも(and だからこそ)そうなのか。もうしょうがないんだね。
私もアメリカに来て、自分が楽しく生きればいいんだ、と思った。日本では、皆様に不快感を与えぬよう、目立たぬよう反感を買わぬよう、小さく小さく生きていたけど。しかも、そう心がけてるのに裏目に出るし!
私もこのまま世界を渡り歩いて暮らしたい。日本は息苦しい。
 
この本はとても面白いと思った。彼のエッセイならもっと読みたい。

 

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)