As You Like It !

All the world's a stage, and all the men and women merely players. 独断と偏見に満ちたエンターテイメント作品紹介です。めざせエンタメの伝道師!

風立ちぬ

近年のジブリ作品の中で、久しぶりにとても好きなかんじ!

原作やモデルについては詳しい方にがすでに書いてらっしゃるので割愛。あと、二郎と本庄についても、腐るので割愛(笑)

 
・飛行機
「日本は20年遅れている」というのは、「飛行機」を「宇宙開発」に置き換えれば今も同じだと。
昔の帝大生は本当に優秀で、日本を背負っていてすごいな。私は全然そんなに立派になれない。頭が下がります。
二郎にとっての飛行機は、夢であり、かつ地に足をつけてする仕事。菜穂子のところに急ぐ二郎が、汽車の中で泣きながら計算してるシーンにぐっときた。
 
「飛行機は美しい夢だ」「飛行機は呪われた夢でもある」両方とも真実である。
「10年力を尽くしなさい」か。たぶん本当に全身全霊でやったら、持つのは10年くらいなんだろう。
萬斎さんは上手だな。
 
駿氏は本当に飛行機が好きなんだなと。
それを引退作品にしたということ。
これぞ集大成だなと思います。
 
・菜穂子
「必死に生にしがみつくかんじではなく、限られた中で生きると腹をくくったかんじで。昔の人は潔いから」というようなことを滝本美織ちゃんは言われたそうです。たしかに、死にゆく菜穂子から悲壮感はあまり感じられない。
 
春なのに、あんな冬のコートで出かけていったら、それはもう。。。
山を出たのが冬だったから、一緒に暮らしたのはほんの3ヶ月くらいだったのか。
 
二郎は自分勝手だったから、菜穂子を失っても一人で「生きねば」ならないという罰を受けるのだ、という解釈がある。
私は、そういうエゴがあってもいいんじゃないかと思う。国を背負うためには、そのくらいわがままでがむしゃらじゃないといけないんじゃないか。そういう人だから、菜穂子はついていこうと思ったんじゃないだろうか。
そこまで他のすべてが見えなくなるほど何かに没頭できるということは、絶大な才能を持つ人だけに許された特権じゃないだろうか。
「生きねば」は、自分の使命を果たさねばならない、ということではないだろうか。それは、二郎にとっての、美しい飛行機を作るということ。菜穂子にとっての、二郎にそうさせるということ。
 
ひこうき雲」よくこんなにぴったりの歌があったものだ。
 
どのシーンもとても美しい。爆撃のシーンや、飛行機が残骸と化しているシーンすら。
「風」を描くのが上手いのだ。同様に、「夢」を描くのも。
どうして見えないし触れられないものをこんなに上手く書けるのだろう。
 
「ピラミッドのある世界とない世界どちらが好きか 君はどちらを選ぶ?」
 
結論:あっぱれ宮崎駿!!(結局それ)